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中国未来産業シリーズ1:無限の可能性を秘めた「低空経済」
提供元:  人民網日本語版
発表時間: 2024-02-02 16:02

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 ここ数年の間に、低空域飛行活動による経済形態「低空経済」が新たな質の生産力の代表として、新原動力を育成・発展させる上での重要な方向性になった。

 広東省深セン市の深セン人材公園では、ドローンがデリバリーボックスの上まで飛んで来て、精度の高い測位システムにより、運んできた商品を正確にボックス上部に置き、利用者が自分で商品を取り出すサービスが行われている。

 西部地域のあるエリアでは、採りたての松茸を積んだ数台のドローンが、エンジンの軽快な音とともに上空に飛び立ち、わずか15-30分で麓まで松茸を届けている。これまでは人が松茸の入ったカゴを背負って1-2時間かけて山を下りていたという。

 また、一部の山間地では、人による作業に代わって支線輸送用ドローンが各作業を担うようになった。

 低空経済とは、通常1000メートル以下の低高度から実際のニーズによっては3000メートルまでの高度空域で、民生用の有人航空機と無人運転航空機を輸送手段として、人や物の輸送やその他の作業など複数のシーンにおける低空域飛行活動によって、関連分野の融合的発展をもたらす総合的経済業態のことを指す。波及する範囲が広く、産業チェーンが長く、成長性と牽引力が高いなどの特徴を備えている。

 新たな質の生産力の代表である低空経済は、新原動力を育成・発展させる上での重要な選択肢であり、世界でしのぎを削る重要な戦略的新興産業の今後の方向性でもある。関連機関の試算では、22年にすでに世界の低空経済の市場規模は1千億ドル(1ドルは約146.4円)に達しており、これからも急増傾向を保つとみられる。

 現在、低空経済は観光・遊覧、都市のセキュリティ、医療救護、緊急支援、農業・林業の植物保護、電力網の巡回検査など幅広い分野に及んでいる。こうしたことから、飛行制御システムや動力システムなどの中核的技術がブレークスルーを達成し、人工知能(AI)などのデジタル技術との融合が一層進むのにともなって、低空飛行をする航空機はよりスマート化・グリーン化し、より安全性・経済性を備えるようになり、ひいてはより多くの応用シーンに対応するようになると予想される。

 全国に目を向けると、多くの地域が低空経済を「新たな競争分野」と見なしている。大まかな統計によれば、中国ではこれまでに10数省(自治区・直轄市)が低空経済やゼネラル・アビエーションを政府活動報告に書き入れた。海南省は最近、全国初の省内無人運転航空機テスト飛行空域マップを発表し、広州市のゼネラル・アビエーション企業は世界初の無人運転乗用航空機の型式証明を取得し、安徽省は合肥市を中心としたゼネラル・アビエーションの「1時間通勤圏」のひな形となる計画を立てたところだ。

 企業の面では、中国は世界最大の消費者向けドローン製造国で、大疆(DJI)は消費者向けドローン産業のリーディングカンパニーだ。複数の企業が電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を急ピッチで進め、景勝地などのシーンでテスト運用を積極的に推進している。順豊や美団をはじめとするデリバリー企業、末端の配送企業はすでに深セン市や上海市などでドローン配送航空路線を10路線以上開通した。関連の統計によれば、23年には深センだけで新たなドローン路線が77路線開通して、累計156路線になり、貨物輸送用ドローンの飛行回数は延べ60万回を超えた。深センは25年までに、低空飛行をする航空機の発着台600ヶ所以上をネットワーク化して配置し、市内で220路線以上のドローン路線を開通し、関連の産業チェーンの企業を1700社以上に増やし、生産高が1000億元(1元は約20.4円)の大台を突破することを目指す計画だ。

 政策による支援、技術の応用といった優位性をよりどころに、中国の低空経済産業は発展の原動力が力強くみなぎっている。


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