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中国の研究チーム、世界的な農業害虫防除につながるメカニズム解明
提供元:  新華社
発表時間: 2023-12-19 10:12

 中国広東省の中国農業科学院深圳農業ゲノム研究所は13日、研究者が産卵時におけるオオタバコガ(Helicoverpa armigera)の独特な行動から、産卵地点選択の背景にある化学的感覚メカニズムを解明したことを明らかにした。世界的な重要農業害虫であるオオタバコガのグリーン(環境配慮型)な防除に向け、新たなアイデアや戦略の開発につながることが期待される。研究成果は同日、国際学術誌「カレントバイオロジー」に掲載された。

 オオタバコガは世界で作物被害が最も重大な雑食性害虫の一つで、綿花やトウモロコシ、小麦などの300種類以上の農作物に深刻な害を及ぼしている。飛行距離が長く、繁殖力が強い上、化学農薬への耐性を獲得しやすいため防除はかなり難しく、グリーンで標的指向性の高いオオタバコガ防除方法開発は国の食糧安全保障において大きな意味を持つ。

 昆虫の行動に関する先行研究により、オオタバコガの卵からは特殊なにおいが放出され、他のメスが同じ場所で産卵するのを阻止することが明らかになっている。しかし、このにおいが昆虫の忌避行為を引き起こすメカニズムはこれまで明らかになっていなかった。

 同研究所の王桂栄(おう・けいえい)研究員のチームは、ガスクロマトグラフ質量分析法や触角電位検出器付きガスクロマトグラフィー(GC−EAD)などを用い、オオタバコガの卵表面に存在する生物活性を持つ長鎖脂肪酸メチルエステル3種類を同定。3種類の化合物とその混合物がいずれもオオタバコガの産卵忌避行為を顕著に引き起こし、特定エリアでの産卵を阻止することを実験により証明した。また、オオタバコガの触覚にあるニューロンからこのにおいを識別する遺伝子を発見し、分子と神経のレベルから昆虫の産卵忌避行為の背景にある化学的感覚メカニズムを把握した。

 王研究員は「この研究に基づき、次の段階ではオオタバコガの産卵行為をコントロールする薬剤を開発し、よりグリーンな方法で特定の農地におけるオオタバコガの産卵を阻止して農作物を効果的に守ることが期待される」と語った。

 この研究は同研究所と中国農業科学院植物保護研究所、ノルウェー科学技術大学などが協力して完成させた。


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