2日、山西省陽泉市で無人配送車に荷物を積み込む郵便局の配達員。(太原=新華社記者/解園)
中国の多くの消費者にとって、年に一度のネット通販セール「双11(ダブルイレブン)」は、指を動かすだけで商品が届くことを意味する。一方で山西省陽泉市の配達員である馮海斌(ふう・かいひん)さんは、この世界最大のネットショッピング商戦の期間中、午前6時半までに起きて、約2週間で1千個以上の荷物を配達しなければならない。
しかし自動運転レベル4(L4)の無人配送車「新石器無人車」が新たにメンバーに加わったことで、馮さんはもはや膨大な配達量を一人でこなす必要がなくなった。新石器無人車は時速15キロで走行し、600キロまで積載でき、ピーク時には1日約800個の配達が可能だ。
馮さんは「新メンバーの加入によって、毎日の労働時間を1時間短縮でき、逆に配達量は30%以上増やせる」と語った。
開発者である史悦(し・えつ)氏によれば、新石器無人車は、陽泉市のような山の街で正常に運行できれば、全国のほとんどの都市の道路状況でも問題なく走行するという。
北京市の試験場でテスト走行する無人車。(2022年8月11日撮影、太原=新華社配信)
北京市や広東省深圳市、安徽省合肥市など自動運転技術を積極的に発展させている中国の都市では無人配送車の応用場面が徐々に広がっている。また中国の無人配送車はすでに世界にも進出している。
新石器無人車の趙心随(ちょう・しんずい)副総裁は「わが社はアジア、ヨーロッパなど12カ国に製品を輸出しており、コミュニティーや病院などで利用されている」と語った。
京東集団(JDドットコム)や同業のアリババグループ、生活関連サービスの美団などの大手EC企業も、無人配送事業を積極的に展開している。投資銀行の中国国際金融(CICC、中金公司)の予測では、中国の無人配送車の市場規模は1700億元(1元=約21円)に上る。
中国の宅配市場の規模は巨大で、全国の宅配便取扱量は昨年1100億件を超え、9年連続で世界1位となった。趙氏は「人と機械の協働モデルが物流業界の大勢となり、企業のコスト削減と効率化をサポートする」と予測する。